はじめに
武蔵野台地の中央部、狭山丘陵から北東へ流れ下り、かつて荒川の大河へ通じていた柳瀬川とそれに合流する空堀川。これら河川沿いには河岸段丘が発達し、その湧水の恵みをえて、太古、数多くの縄文時代の集落跡が形成されていました。
今回の展示は、清瀬市域の開発に対応して行なわれてきた、遺跡発掘調査で蓄積されてきた縄文式土器をテーマとし、自然と共生していた太古の思考を探求しようとするものです。
縄文式土器にみられる、容器としての土器の造形と文様。その現代人を魅了する美しさには、彫刻や絵画にも通ずる精神のはたらきを得て発露した、過酷な自然と共生しようとした「野生の思考」が克明に描き出されているはずです。
器面に粘土紐と線刻・縄目によって描くという、世界に類を見ない表現形態を発達させた縄文人。その文様に表わされた意味を追うため、本展示では、実物資料のほか、清瀬市郷土博物館で独自に開発した文様の展開写真を添え、文様構造をビジュアル化して解説しています。
縄文時代中期勝坂式後半期から加曽利E式末期へ至る、500年間の小集団がつくりつづけた土器文様、そこにどのようなメッセージがこめられているのか? 見学者、それぞれの感性で「野生の思考」を求めてください。
清瀬市郷土博物館
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