うちおり |
「うちおり」とは、商品として織られたものではなく、家族のために手元にある材料を使って織られた織物です。反物・着物・裂(きれ)などがあります。
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清瀬市及び周辺地域のうちおり衣料 |
「清瀬市及び周辺地域のうちおり衣料」は、清瀬市指定有形民俗文化財で、着物、羽織、半纏、裂など166点からなります (平成18年1月に指定)。明治・大正・昭和における清瀬市及び周辺地域の衣文化を知る貴重な歴史資料です。「貴重な文化財を守りたい」という市民の方々の収集・調査活動が実を結んだケースで、専門家からも高い評価を得ています。
ここでは、その一部を紹介します。
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明治から昭和の衣文化を知る貴重な資料 |
清瀬をはじめ周辺地域では、昭和初期頃まで農家等の女性の手により「うちおり」と称される織物が織られていました。
この「うちおり」は、商品としてではなく、農村の女性たちが家族のために織ったもので、村山絣や村山大島紬のように、決まった工程の下に織られた規格品と違い、養蚕が盛んだったことから屑まゆからとった絹糸や木綿糸など手持ちの材料を使い、糸繰り・糸染めなどの工程を織手自身が工夫しながら仕上げたもので、縞織物などは、素朴ながら深い味わいがあります。
母親から娘、娘から孫へと技術が受け継がれ、家族の着物や野良着、布団皮などを作るために、農作業や家事の合間に織られてきました。
また、嫁入りの時には、祖母や母親に織ってもらったり、手伝いながら自分でも織った「うちおり」の絹の布で、晴れ着やよそゆきを仕立てて持参していたため、清瀬の農家には、自分の家で織ったもののほかに、周辺地域から嫁ぐ際に持参したものもあります。
このたび文化財の対象となった衣料は、明治時代から昭和20年頃にかけて織られたもので、特に縞織物が中心で、良好な状態で保存されていたものばかりです。どれも織手の工夫や家族への愛情が伺われます。
これらは、「うちおり」の性格を知る上で貴重な資料となるばかりでなく、所有者から聞き取りが得られているため、いつ頃どこで織られたのか、また誰が織ったのか、さらに嫁入りや帯解きなど使用目的が明らかにされているものが多く、清瀬市及び周辺地域における明治・大正・昭和の衣文化、生活や習俗を知る上で、歴史的価値が極めて高い資料であると言えます。
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収集・調査に多くの市民が協力 |
時代の変遷に伴い「うちおり」に関する資料が乏しくなり、しかも最近では、「うちおり」を知るお年寄りが次第に少なくなってきていたため、家庭に埋もれている着物や布を収集・保存・研究し、さらに展示することにより、その素晴らしさを市民の皆さんに紹介するとともに次代に受け継いでいこうと、平成16年11月に「清瀬の昔の織物と女性のくらし研究会」(清瀬市郷土博物館・清瀬市男女平等推進室・市民ボランティア)が発足しました。
これを契機に、資料提供の呼びかけを市報などで行い、会のメンバーを中心に本格的な収集活動を行った結果、多くの方々からご厚意で、母親や祖母の形見の着物等を寄贈・寄託していただくことができました。併せて、寄贈・寄託者への聞き取り調査、布名・柄・製作年代等の調査、着物の採寸、写真撮影、調査票の作成などに多くの方々のご協力をいただきました。
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専門家から高い評価 |
このたびの文化財指定に当たり、民具研究家である大舘勝治氏(国文化審議会専門委員・さいたま民俗文化研究所長)と宮本八惠子氏(民具研究家・元埼玉県文化財保護審議会委員)に実際に見ていただき、「清瀬市及び周辺地域で製作されたうちおりの全体像を見ることができる。衣風俗研究の上で貴重な資料である」と、とても高い評価を受けました。
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うちおりの世界へようこそ |
清瀬市指定有形民俗文化財「清瀬市及び周辺地域のうちおり衣料」を小学生にも分かりやすく解説しています。下の関連ファイルをご参照ください(無断転載等はご遠慮ください)。
(注)写真の使用にあたり、一部清瀬小学校の協力をいただいております。
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国指定重要有形民俗文化財「清瀬のうちおり」資料の紹介
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ムキミヤ半纏 縞 |
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袷 長着(女物) 縞 |
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単 短着(女物) 縞 |
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袷 長着(女物) 縞 |
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袷 長着(女物) 格子 |
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単 長着(女物) 縞 |
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袷 長着(女物) 縞 |
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半纏 縞 |
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袷 長着(女物) 縞 |
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袷 長着(女物) 縞 |
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袷 長着(女物) 格子 |
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袷 長着(女物) 型染め |
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袷 長着(女物・祝着) 縞 |
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袷 長着(女物・祝着) 型染め |
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夜具(布団) 格子 |
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羽織(女物) 型染め |
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袷 長着(女物) 型染め |
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帯 裂織り |
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