|
1.灰釉折縁皿(陶器)… |
─ / ─ / ─
礎石番付(の五)壺掘地形内出土。体部から口縁部にかける破片で、丸味をもって立ち上がる体部を外側へ屈曲させ、口縁部を作り出している。
17世紀初頭から中葉頃の瀬戸・美濃系の製品。 |
|
2.灰釉菊型皿(陶器)… |
2.7cm /(13.6)cm /(7.7)cm
第2土間面形成土から出土。底部から口縁部にかける破片で、内面に打型成形による菊形文が認められ、製作時に併用された細かな布目痕も残されている。体部は丸味をもって立ち上がり、花弁状の刻線が施されている。灰釉は黄味をを帯びた灰色で、内面から外面の体部下まで掛けられている。
17世紀中葉から18世紀初頭頃の瀬戸・美濃系の製品。 |
|
3.輪禿皿(磁器)… |
─ / ─ /(4.4)cm
礎石番付(に二十・ろ二十)間中央の壺掘地形内出土。底部から体部にかける破片で、削り出しによる高台脇に削り込みが入り、断面台形を呈す。高台内には左回転の削り痕が残る。内面の1.55cm幅の輪禿部分には砂の溶着があり、釉はそれと高台部を除く全面に施されている。
17世紀後半から18世紀前半の肥前波佐見系の製品。 |
|
4.輪禿皿(磁器)… |
─ / ─ /(3.6)cm
礎石番付(ぬ九)付近の第2土間面直上から出土。底部から体部にかける破片で、器形、釉調、年代、産地とも3に同じ。 |
|
5.染付碗(磁器)… |
─ /(10.0)cm /─
柱穴跡P1柱痕内出土。体部から口縁部にかける丸腰の碗片で、くす味をもつ素地に呉須で草花文や丸文を絵付けしている。
17世紀後半から18世紀中葉の肥前波佐見系の製品 |
|
6.染付端反り碗(磁器) |
─ /(10.6)cm/─
礎石番付(へ九)付近の地表面で検出。体部から口縁部にかける破片で、丸腰に外反気味の口縁部をもつ。青味の強い呉須を用い、外面に風景文、内面上端に幅3mmの条線が巡る。なお、口縁部には白玉粉による焼き継ぎの補修がなされている。
19世紀初頭から中葉までの瀬戸・美濃系の製品。 |
|
7.灰釉象嵌大鉢(硬質陶器) |
─ / ─ / ─
礎石番付(へ又十三)付近の地表面で検出。体部から口縁部にかける破片で、体部はやや丸味をもちながら立ち上がり、口縁部で外反する。口唇部は摘み上げられている。内面に印刻文が施され、その凹みに白土を入れてから灰釉が掛けられている。外面には灰釉と鉄釉が掛け分けられ、無釉の部分も見られる。
17世紀後半から18世紀前半に生産された肥前武雄系の古唐津の製品。 |
|
8.鉄釉天目茶碗(陶器) |
─ / ─ /(4.8)cm
炉跡R3内出土。底部から体部にかける破片で、垂直な削り出し高台脇に水平な削りを加えている。高台高は7.2mm、畳付きの幅4.5mm、高台内側は中心へ向かい高まり、中心の器厚は5mm。
17世紀初頭の瀬戸・美濃系の製品。 |
|
9.鉄釉茶碗(陶器)… |
(7.2)cm /(11.1)cm /(5.2)cm
礎石番付(に五)付近の第2土間面形成土で検出。底部から体部にかける完形の1/2の破片で、丸腰から口唇部へわずかに外傾。高台は削り出しと思われ、外側は直立、内側は内傾。高台は畳付部の幅が4mm、高さは9mm。体部内外面にはロクロ水引きによる整形痕を明瞭に残し、釉は内面から外面体部下端付近まで掛けられている。 |
|
10.灰釉鉄釉塗り分け茶碗(陶器) |
─ /(9.1)cm / ─
礎石番付(に五)付近の第2土間面形成土で検出。体部から口縁部にかける破片で、腰部が丸味を帯び、外面にロクロ引きの整形痕を残す。釉は外面の口縁から内側へ掛けて灰釉が、また外面の中程から体下端まで鉄釉が掛け分けられている。
18世紀中葉から後半頃の瀬戸・美濃系の製品。 |
|
11.灰釉鉄絵茶碗(陶器) |
(4.7)cm / ─ / ─
礎石番付(へ九)付近の地表面で検出。高台から口縁部にかける破片で、わずかに内弯しつつ開く。高台は削り出しで断面V形を呈し、高台脇に水平削りが施されている。釉は高台部を除く全面に掛けられており、淡い黄白の色調。
本片は文様部を欠損するが、その特徴から18世紀後半頃の信楽地方でつくられた鉄絵の小杉茶碗である。 |
|
12.半筒型茶碗(磁器) |
─ / ─ / ─
礎石番付(へ九)付近の地表面で検出。口縁部の小破片で、素地は灰色を呈し、外面には交互条線で埋めた丸菊文を青味の強い呉須で描いている。また、口縁内面には幅3mmの線が巡る。
19世紀中葉の瀬戸・美濃系の製品。
|
|
13.端反り茶碗(磁器) |
─ / ─ / ─
礎石番付(へ九)付近の地表面で検出。口縁部の小破片で、素地は灰色を呈し、外面には交互条線で埋めた丸菊文を青味の強い呉須で描いている。また、口縁内面には幅3mmの線が巡る。
19世紀中葉の瀬戸・美濃系の製品。
礎石番付(へ九)付近の地表面で検出。体部から口縁部にかける破片で、薄作りな口縁の外反する茶碗である。細筆とダミ筆を用いた草花文が描かれており、呉須ではあるがその色調は青黒く発色している。
19世紀後半の瀬戸・美濃系の製品。 |
|
14.クロム青磁釉茶碗(磁器) |
3.3cm /(7.3)cm /(3.3cm)
礎石番付(ぬ三)付近の地表面で検出。底部から口縁部にかける完形の1/2程度の破片で型成形品である。高台は内面が内弯し、蛇ノ目様に窪んでいる。高台高4mm。体部の文様は腰部から上に向かい連葉文状に型取られ、クロム釉が外面のみに施されている。
大正時代の瀬戸・美濃系の製品。 |
|
15.甕(硬質陶器)… |
─ / ─ / ─
礎石番付(へ十一)壺掘地形内から出土。体部の小破片で、外面には光沢のない鉄釉が掛けられ、その上にゴマ状の溶着物が付着する。内面は無釉薬で、ロクロ水引きによる整形痕が残る。器厚は5.2~6.5mm。素地はやや灰色気味のベージュ色を呈する。 常滑あるいは信楽系の製品と思われる |
|
16.鉄釉灯明皿(陶器) |
1.8cm /7.2cm /3.9cm
礎石番付(ぬ九)付近の第2土間面形成土から出土。完形。体部はわずかに丸味をもって立ち上がり、口縁部内面には一本の削り込みの線がむ巡る。底部には回転糸切り痕が残る。素地は橙褐色で、光沢のない鉄釉が内面から口縁外面にかけて掛けられている。
18世紀から19世紀前半の瀬戸・美濃系の製品。 |
|
17.擂鉢(陶器) … |
─ / ─ / ─
礎石番付(ぬ又十三)付近の地表面で検出。。体部破片で、内面には8条まで確認可能な櫛目が放射状に引かれている。外面にはロクロ引きの粗い整形痕が残されており、内外面に光沢のない茶色の鉄釉が掛けられている。
18世紀の瀬戸・美濃系の製品。 |
|
18.擂鉢(陶器)… |
─ / ─ / ─
礎石番付(ぬ又十三)付近の地表面で検出。。体部破片で、内面に15条の櫛目が放射状に引かれている。外面にはロクロ引きの粗い整形痕が残されており、内外面に掛けられている鉄釉にはやや光沢がある。
18世紀の瀬戸・美濃系の製品。 |
|
19.擂鉢(陶器)… |
─ / ─ / ─
礎石番付(ぬ又十三)付近の地表面で検出。。体部破片で、内面には11条まで確認可能な櫛目が放射状に引かれている。外面にはロクロ引きの粗い整形痕が残されており、内外面に光沢をもつ茶色の鉄釉が掛けられている。
18世紀の瀬戸・美濃系の製品。 |
|
20.焙烙(土器)… |
─ / ─ / ─
礎石番付(へ十一)付近の第2土間面形成土から出土。底部より口縁部へかける破片で、体部が内弯気味に立ち上がり口縁端部は平坦。内耳が付き、その幅は中央で2.7cm、厚さ0.7~1.1cm。器厚は体部0.9cm~1cm、底部0.8cm。整形は底部外面から体部中程までが粗く、その上から内面にかけては横位の撫でが施されている。なお、なお、内面には使用時の煤が付着している。
この類の焙烙は江戸時代の中でも形態変化が少なく、その時期を限定することが難しいが、内耳の接着の状態は比較的古い時期の様相を示している。 |
|
21.戸車(磁器)… |
礎石番付(へ九)付近の地表面で検出。完形。径7cm、厚さ1.7cm、孔の径2.1cm。断面の形状は中心に向かうほど厚さを減じ、輪の端部には幅3.6mmほどの面取りがなされている。釉は輪の外側と車軸の面に掛けられている。 |
[泥面子] |
明橙色をした素焼きの製品で、すべて型オコシ成形である。 |
|
1.金太郎の顔… |
炉跡R10脇から出土。2.7×2.3cmの楕円形で、厚さ8mm。 |
|
2.弁財天の顔… |
炉跡R10脇から出土。2.7×2.3cmの楕円形で、厚さ7mm |
[瓦] |
瓦はすべて破損しており、特徴のある9点を選んで説明する。 |
|
1.平瓦… |
炉跡R4内から出土。黒灰色で径2mmの孔が2箇所に穿たれている。 |
|
2.平瓦… |
礎石番付(ぬ七)付近の地表面で検出。色調は灰色 |
|
3.平瓦… |
竈K6内から出土。色調は灰色。 |
|
4.平瓦… |
炉跡R5内から出土。表面の色調は黒色・銀灰色、裏面は白橙色。 |
|
5.平瓦… |
礎石番付(ぬ七)付近の地表面で検出。色調は銀灰色で一部黒色。 |
|
6.桟瓦… |
礎石番付(ぬ七)付近の地表面で検出。色調は黒灰色。 |
|
7.丸瓦… |
礎石番付(へ九)付近の地表面で検出。色調は黄味を帯びた白灰色。 |
|
8.丸瓦… |
礎石番付(へ九)付近の地表面で検出。色調は灰色、裏面に布目痕が残る |
|
9.軒丸瓦… |
礎石番付(へ九)付近の地表面で検出。色調は灰色。軒平部分を欠損。 |
[石製品] |
|
1.砥石… |
礎石番付(へ十一)付近の第2土間面形成土から出土。一部を欠損。断面台形を呈し、長さ10.4cm、幅3.3cm。研ぎ面は一面だけで、他の面には櫛歯タガネによる切り出し痕が残る。 |
|
2.砥石… |
礎石番付(に十一)付近の第2土間面形成土から出土。完形。長さ14.4cm、幅2.6cm、厚さ1.2cm。研ぎ面は二面あるが、一方の面には平タガネによる切り出し痕が残る。 |
|
3.砥石… |
礎石番付(へ九)付近の地表面で検出。完形。長さ14.4cm、幅2.7cm、厚さ2.4cm。研ぎ面は四面あり、凹面をなす一面を除いた他は両端を使用した凸面を構成している。 |
|
4.砥石… |
礎石番付(へ九)付近の地表面で検出。瓦片を砥石に利用したもので、長さ5cm、厚さ1.8cm。研ぎ面は瓦片の表と裏を主とするが、縁も使用している。 |
|
5.石盤… |
色調は銀灰色で一部黒色。礎石番付(へ九)付近の地表面で検出。長方形で縦19.7cm、横13.8cm、厚さ0.4cm。表面縁には枠線が刻まれており、枠内には「森田伊…」の姓名らしき三文字と、線書きの人物像?が描き込まれている。 |
[銅製品] |
1~3.煙管… |
いずれも銅板を加工し、羅宇を差し込む形態で、吸い口、雁首、火皿に焼き継ぎによる接合の跡が残る。形状は、吸い口が口当たりの部分で丸味を帯び、羅宇差込部へ向かって円曲をみせながら徐々に太くなり、また雁首は火皿の付け根にかけて細まっている。
1.は吸い口で、礎石番付(へ十一)壺地形内から出土。長さ5.4cm、羅宇差込部の径1cm、口当たり部6mmを計る。内部には径8mmの羅宇の竹材片が残る。 |
|
2.煙管… |
雁首で礎石番付(へ十一)付近の第2土間面形成土から出土。各部の大きさは、長さ5.3cm、羅宇差込部径1.05cm、羅宇径8.5mm、火皿径1.75cm、付け根径6.7mm、高さ1.16cm。 |
|
3.煙管… |
一揃いのまま炉跡R10脇から出土したもので、長さ20.6cm。各部の計測値は、吸い口が長さ6.4cm、差込部径9.5mm、口当たり径6.7mm。羅宇は差込間の長さ9.7cm、径8.8mm。雁首は長さ4.5cm、差込部径9.2mm、火皿下根元部径7.7mmで、ラッパ形に開く火皿部は径1cm、高さ7mm。なお、雁首上面は灰落としのさいの叩き付けにより窪みが生じている。 |
|
4.引き手金具… |
礎石番付(へ九)付近の地表面で検出。軸と手持ちの部分が接合されている金具で、軸の長さ6.6cm、その断面の形状は3.3mm角の四角形。手持ち部の長さは6cmで、断面径2.8mmの円形を呈し、軸との間隔を8.4mmとった鎹状の形態をもつ。 |
[鉄製品] |
|
1.鎚 |
礎石番付(へ九)付近の地表面で検出。長さ12.1cm、重さ198g。断面正方形の叩き面の幅は2.6cmで、使用により縁に潰れが生じている。その反対側は錐形で、これも使用により先端が潰れ0.7mmの面をなしている。柄穴は1.85×0.85cmの長方形で、その位置は主叩き面側へ3:5程度の比率で片寄りをもっている。なお、柄穴内には柄の断片と丸釘が残っている。
|
|
2.竈掛け口の金具 |
炉跡R5内に検出。輪状のもので、幅が4.5cm、厚さ6~7cm。表面の両端に傾斜をもつ。 |
[ガラス製品] |
|
1.瓶 |
炉跡R5内に検出。輪状のもので、幅が4.5cm、厚さ6~7cm。表面の両端に傾斜をもつ。礎石番付(へ九)付近の地表面で検出。高さ5.9cm、幅2.8cm、厚さ1.7cm、口径1.5cmの角瓶。正面右側へ抉りが入り、頸部がやや曲がり、ガラス内には細かな気泡が含まれている。
表面に以下の文字が鋳出されている。
正面…「富山薬業株式會」
裏面…「めぐすり 點眼水」 |
|
2.瓶 |
礎石番付(へ九)付近の地表面で検出。高さ8.3cm、幅3.4cm、厚さ2.1cm、口径2.1cmの角瓶で、横に目盛りが鋳出されている。ガラス内には気泡が含まれており、色調は緑色味を帯びている。 |
[古銭] |
江戸初期のものから昭和へ至るものが33枚検出されている。
内訳は寛永十三年(1636年)から十四年にかけて鋳造された寛永通宝が13枚。寛文八年(1668年)から明和六年(1769年)の初鋳年代をもつ寛永通宝25枚。幕末期の文久三年(1863年)鋳造の文久永宝2枚。江戸時代後期に縁起物として鋳造された戎金1枚。大正八年(1919年)の一銭銅貨と昭和十四年(1939年)の一銭アルミ貨が各1枚である。
なお、寛永通宝は古寛永と新寛永に区別されるが、新寛永の明和期のものは四文銭である。また、戎金は正式な流通貨ではないが、銭の擬似形態をもって鋳造されているためこれらの範疇へ含めた。 |