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縄文時代の「くし」つくり 解説版 

                   
 
    






上は、江戸時代に流行した木の板をのこぎりでひいて歯をつけた「くし」。下が縄文時代の「くし」(複製品)
                            
                    ひいらぎちゃん 

                 


 ようこそ、縄文時代(じょうもんじだい)の「くし」つくりの部屋(へや)へ!


 木の「くし」6千年以上も前からありますが、縄文時代後期(4千~3千年前)
になると竹ひごを組み合わせた「くし」が多くつくられています。

 この竹の「くし」は、古事記という日本の神話を書いた本にも出てきます。
 そこには、死んだイザナミに会うため、死の世界へ向ったイザナギの話がのせられていますが、魔物と化したイザナミからのがれて地上の世界へ帰ってくるとき、イザナギが、かみの毛にさしていた「くし」を取り、折って投げたところ、そこから竹の子がはえ、イザナミがそれを食べている間に地上の世界へのがれられたという話が語られています。
 この「くし」は竹の子がはえるのですから、縄文時代にあったような竹をつかった「くし」であったことに間違いはありません。このことから、古い人々が竹の子の成長力の強さにふしぎな力を感じ、竹を髪飾(かみかざ)りの「くし」につかっていていたように思えます。
 しかし古代以降は、歯を削り出す木の「くし」になり、いまでは竹の「くし」はほとんどみられなくなりました。そうしたことで、竹を組み合わせてつくる「くし」は、現代に伝わらなかった縄文時代人が発明したすばらしい技術なのです。
 
 発掘調査で、赤や黒の漆を塗った竹の「くし」が出土し、どうつくられているのか、たくさんの研究者が観察をつづけてきました。そしてその「くし」の作り方が分ってきたのです。ここでは、みなさんにもつくれるように、文房具屋さんで手に入る材料で縄文時代の「くし」をつくっていくますよ!

 

1.材料と準備 

一番上はシュロの樹皮。下は竹と黒曜石


シュロの木

シュロの樹皮

 ここでは、なるべく縄文時代にあった材料でつくっていきます。なお、ひもは縄文時代には日本に自生していなかった植物ですが、植物から手軽にとれる繊維としてシュロの樹皮をつかうことにします
 シュロは樹皮から縄をつくれるため、昔の農家ではどこの家でも植えられていました。竹は真竹で、これから竹ひごをつくります。黒曜石はかけらの鋭い刃をナイフとしてつかっていきます。


 みなさんは、以下の材料をつかってください。
  竹 細ひも 木工用ボンド カシュウ漆と溶剤
  はけ カッターナイフ 紙やすり 

 漆は「カシュウ」という工業用の漆がホームセンターの塗料のコーナーなどで売っていますが、アクリル絵の具や水彩絵の具で着色した後に透明なニスを塗ってもできます。
 竹は文房具やさんから竹ひごを買ってきてもいいし、お母さんに聞けば焼き鳥などに使う料理用の竹ぐしがあると思うので、それをつかってもいいですよ。
 ひもも細ければ何でもOK。タコ糸もいいですが、太ければより合わせている糸をほぐしてつかってください。
2.ひも・竹ひごをつくる 
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 みなさんは、すでにできているひもや竹ひごをつかうので、緑の線(写真4)までの工程はひつようありません。ここでは、縄文人のひもと竹ひごのつくり方を説明していきます。

 ひもや縄は、ツルや木の皮の内側にある繊維をとりだしてつくります。シュロの木の皮は、はじめからたてよこに網のように繊維がついていて、太い茎の部分を黒曜石のナイフで切り離してほぐせば(左写真1)、すぐにひもをつくることができます。
 この繊維をひもにするには、二つの束を別々に同じ方向によっていくことで、束がからみあい、ひもができていきます(左写真2)。





    
  ちゃんとできてるかニャ





 つぎに竹ひごをつくります。
 黒曜石のナイフで竹の節の間を切断します(左写真3)。
 切断した竹で筒の断面に黒曜石のナイフの刃をあて、その上を石で軽くたたくと、竹の筒が裂け半分になります。それをくり返しひごのもとになる竹の棒を13本割り出します(左写真4)。
 
 この竹の棒には角がありますから、黒曜石のナイフで角をけずりおとし、まるい竹ひごにしていきます。
 





 つぎに13本の竹ひごの、長さを調節していきます。
 13本のうち、歯につかうものは9本。このうち真ん中につかう3本は短くします。他の4本は歯を組んだ裏表からの押さえとする竹ひごで、長さは短い方の歯と同じくらいの長さにします。
 ※長さを切りそろえるには、台の上に竹ひごをおき、切るところにカッターナイフの刃をあてたまま、竹ひごをころがして切るとケガをしませんよ!
 
 これで、ひもと竹ひごのできあがり(左写真5)
3.組み立て  
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 6本の長い竹ひごのあいだに、3本の短い竹ひごを入れます(左写真6)。
 それを裏表から押さえるように他の短い竹ひごをおき、端をひもでしばります。




 つぎになかの歯が動かないように、表と裏に渡した押さえの竹ひごを巻きながら歯のあいだにひもを通していきます。はじで折り返してくると、歯のあいだに×にかけたひもができあがり、最初のところでひもをしばれば歯がぬけなくなります(左写真7)。


       

 この押さえの竹ひごからあいだを開け、同じやり方で、もう1箇所押さえの竹ひごをおいてひもでしばります(左写真8)。






 つぎに、両側から出た6本の竹ひごの頭の部分を、交互にひもを編みこんで固定します(左写真9)。






 最後に、はみ出た押さえの竹ひごを短く切りそろえ、形のできあがり(左写真10)。




4.うるしぬり  
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  縄文時代には、漆にベニガラをまぜて赤い色をだしています。ここでは工業用のカシュウ漆をつかいますが、きれいにしあげるには、うすくのばしながらぬっていきます。
 ぬるのは上半分ですが、手やテーブルに漆が付くとよごれがとれなくなるので、手袋をして新聞紙などひいて作業をしてください。
 ぬり終えたら、ほかのものに漆が付かないよう、粘土に立てたり、また歯をせんたくばさみではさみ、つるすようにして日かげで1日かんそうします。。
 漆がかわくのには時間がかかるので、とちゅうでさわらないようにネ! 
 
できあがり
 
   

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